色付けと仕上げ・KDPデータ作り|印刷の“落とし穴”との戦い方

色付けと仕上げ・KDPデータ作り|印刷の“落とし穴”との戦い方

2025-11-20

こんにちは、heyです。

絵本『てとて』制作記、今回で第四回となります。


絵本制作記 過去の記事はこちら

▼ 第1回:Kindle出版から個展まで。絵本作家×画家として生きる

【第1回】 Kindle出版から個展までのリアル

▼ 第2回:絵本づくりの現場|下描き・キャラ作り・迷いとの向き合い方

【第2回】 下描き・キャラ作りの裏側

▼ 第3回:色付けと仕上げ・KDPデータ作り|印刷トラブルと対策

【第3回】 色付け・仕上げ・KDPデータ作り


いよいよ“色と光”を入れていく工程へ

下描きとレイアウトを終え、絵本の世界がだんだん形を持ちはじめたところで、いよいよ次のステップ。

「色付け」「仕上げ」「KDP用データ作り」に入っていきます。

この工程は、絵の雰囲気を決定づける超大事なパート。

と同時に、印刷やKDPの仕様という“現実”とも向き合う山場でもあります。

今回は、ボクが実際に経験した

「印刷すると暗くなる問題」や

Procreateでの色調整のコツ、

KDPの地味だけど重要な注意点をリアルにお伝えします。

適宜、使用ツールや機材も紹介しますので、

絵本を作ってみたい方の参考にもなるはずです。

色付けのはじまり|世界に“温度”をつける作業

下描きの線が固まり、ページの“間”が整ってきたら、

次は色付け――。

ボクは主にProcreateというアプリで着彩しています。

素材感を残したいので、6B鉛筆メインでプラスα水彩ブラシの組み合わせが多めです。

彩度は「気持ち」より低めにする

iPadの画面って、どうしても鮮やかに見えがちです。

そのままの彩度で作業して印刷すると…

「あれ…なんか暗い…?」

「ちょっと重たい…?」

という現象がほぼ確実に起きます。

✔ ボクがやっている対策

• 影は濃くしすぎず“透け感”を残す

• 背景の黒は 100%黒を使わない

• 画面で見た時に「地味?」くらいでOK

この「少し物足りないかな?」というくらいが、

実際の紙ではちょうどよく馴染むんです。

印刷すると暗くなる問題|これは避けられない

絵本づくりをしている人はほぼ全員ぶつかる壁。

印刷すると必ず暗くなる。

これ、本当に避けられないんです。

特にKDP(Amazonのオンデマンド印刷)は、

一般的な商業印刷に比べて若干沈みます。

✔ 対策としてやっていること

・白背景を極力多めに確保する

→ 密度が高いと“黒ずんで”見えるため。

・薄い色はさらに薄める

→ パステル調は沈みやすい。

・色テストを1回出しておく

→ 500円くらいで自分の絵本データを印刷して確認できます。

これは正直、必須レベル。

たった1回の印刷確認でクオリティが確実に上がります。

Procreate書き出し設定|失敗しないためのテンプレ

地味に大切なのがコレ。

データ設定を間違えるとKDPで弾かれたり、

印刷がぼやけたりします。

おすすめ設定(そのまま使えます)

✔ キャンバスサイズ

• 3508×2480px(A4相当)

• 300dpi

• カラープロファイル:Display P3 or sRGB

※KDPはRGBデータで入稿します(CMYK不可)

✔ 書き出し

• PNG

→データを保存するのに画質低下が起   こりにくいです。その分容量が大きい、

✔ データはフォルダ別に管理

• 「下描き」

• 「線画」

• 「カラー」

• 「完成ページ」

• 「KDP仕上げ(余白込み)」

この4〜5段階にしておくと、

後で修正が来ても地味に助かります。

KDPの注意ポイント|知らないと落とし穴だらけ

KDPは仕様が細かく、ちょっとしたことでエラーになります。

ここでは最低限おさえておくべきポイントをまとめます。

① 塗り足しは必須(3mm)

KDPは塗り足しが必須。

ページギリギリに配置すると“白フチ”が出ます。

✔ 推奨

• 周囲3mmの塗り足し

• 文字は端から10mm以上あける

② 背表紙の幅はページ数で変わる

KDPのハードカバー/ペーパーバックでは、

ページ数によって背表紙の幅が変わります。

ちなみにハードカバーは日本のAmazonでは出版できないのでご注意を。

KDP公式の計算ツールを使うのが確実↓

https://kdp.amazon.co.jp/cover-calculator

③ PDFは必ず「単ページ」書き出し

見開き状態でPDFにすると、

高確率でエラーになります。

✔ 使用ツール

・絵本づくりはiPad ProとApple Pencilが圧倒的に作業しやすいです。

iPad Air↓

https://amzn.asia/d/iQSurku

Apple pencil pro↓

https://amzn.asia/d/8UtmV4h

✔ Procreateのブラシ

・水彩ブラシや6B鉛筆は、公式ブラシセットで十分。

https://procreate.com/jp

✔ KDPで絵本を出したい方向け

・KDPの基礎が学べる入門書

費用ゼロで出版して世界最大の書店Amazonで売る1 ↓

https://a.co/dLALVAg

✔ 作業効率UP

・外部モニターにつないで色確認をすると失敗が減ります

変換ケーブル↓

https://amzn.asia/d/3u0e7tg

外部モニター↓

https://amzn.asia/d/hTBsRWQ

仕上げの瞬間|“絵”が“本”になる喜び

KDP用にデータを整え、表紙をつくり、

PDFとして書き出す――。

この段階に入ると、

「あ、いよいよ本になるんだ」と

胸がぎゅっとします。

PDFに書き出すのは、サイズを微調整する関係もあったので”Canva”を使いました。

https://apps.apple.com/jp/app/canva-%E3%82%AD%E3%83%A3%E3%83%B3%E3%83%90-%E4%BF%A1%E3%81%98%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%BB%E3%81%A9-%E7%B4%A0%E6%99%B4%E3%82%89%E3%81%97%E3%81%8F/id897446215

最初は一枚の落書きだったものが、

ページとなり、順番を持ち、

物語としてつながっていく。

絵本づくりの醍醐味が、

ここで一気に押し寄せてきます。

次回予告|最終回は『出版と販売のリアル』

いよいよ次回は絵本制作編の最終回。

「出版」「KDPでの販売」「レビューの増やし方」

「サムネイルの作り方」「Amazon対策」

ここまで描いてきた絵が、

どうやって読者の手に届いていくのか。

絵本を出版したい人には間違いなく役立つ内容になります。

おわりに

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

Instagramでは、今回紹介した「色付け前のラフ」「制作動画」など、ブログでは載せられない裏側も投稿しています。

heyのInstagram↓

https://www.instagram.com/te_to_te_____?igsh=MTBxN2IyanJneHY1cA%3D%3D&utm_source=qr

もし絵本づくりに興味のある方は、

「あなたの思い出が絵本に登場」企画もぜひ覗いてみてください。

今日も、心を描きます。