「いつか自分だけの絵本を作ってみたい。」
そう思ったことはありませんか。
でも、その次に浮かぶのは、
「絵が上手くない。」
「何から始めればいいのか分からない。」
「美術大学も出ていない。」
そんな不安ではないでしょうか。
実は僕も同じでした。
僕が本格的に絵を描き始めたのは30歳。
それまでは、人の命を守る仕事をしていました。
毎日考えていたのは、
「どうすれば一人でも多くの命を救えるか。」
ということです。
同期の投票でリーダーに選ばれ、消防学校は首席で卒業。
その後レスキュー隊員となり、研修でも優等賞をいただきました。
人を救うために、訓練と勉強を積み重ねる毎日。
腕立て伏せを続けて脇が内出血したり、
失神するまで走ったり、
歯が欠けるまで鍛えたこともあります。
三度ほど、本気で死を覚悟したこともありました。
それでも続けられたのは、
「誰かを助けたい。」
その想いだけでした。
目次
だけど、救えない命もあった
もちろん救えた命もあります。
でも、
救えなかった命もあります。
現場では、
残された家族の想い、
本人が残したかった想い、
叶えたかった未来。
そういったものを何度も見てきました。
時間が経つにつれ、
その人のことを知る人が減り、
想いも少しずつ薄れていく。
そんな瞬間も見てきました。
この経験は今でも忘れられません。
だから今の僕は、
「想いを、物語に。」
という言葉を大切にしています。
昔は命を救う仕事でした。
今は、
誰かの想いや人生を、
物語として未来へ残す仕事をしています。
僕にとって絵本は、
絵を描くことではありません。
誰かの想いを、
未来へ手渡す方法なんです。
絵本は、突然描けるようになったわけじゃない
消防の仕事をしながら、
少しずつ絵を描き始めました。
もちろん最初は思うように描けません。
線は曲がる。
色もまとまらない。
構図も分からない。
SNSを見るたびに、
自分より何倍も上手い人がいました。
でも、
レスキュー時代に学んだことが一つあります。
人は一日で強くならない。
毎日の積み重ねだけが、
本当に自分を成長させる。
これは絵も同じでした。
昨日より一本だけ線がきれいになればいい。
一枚だけ描ければいい。
その積み重ねでした。
最初にやったことは「上手い絵」を描くことじゃなかった
多くの人は、
絵本を作ると聞くと、
まず絵の練習を始めます。
もちろん大切です。
でも僕が最初に考えたのは、
「誰に届けたいのか。」
でした。
子どもなのか。
親なのか。
仕事で疲れている大人なのか。
読む人が決まると、
使う言葉も、
色も、
物語も、
全部変わります。
だから僕は、
絵を描く前に、
届けたい相手を決めました。
そしてもう一つ。
「この人に何を持ち帰ってほしいのか。」
ここも決めました。
その答えが、
『てとて』という絵本です。

完璧を目指したら、一冊も完成しない
最初の作品は、
きっと納得できません。
今でも、
『てとて』を見返すと、
「今ならこう描くやろな。」
と思うページがあります。
でも、
あの時の自分には、
あれが精一杯でした。
だから良かったんです。
もし、
完璧になるまで描き直していたら、
僕は今でも一冊目を作っていたと思います。
一冊完成すると、
初めて次の課題が見えます。
だから僕は、
完成させることを優先しました。
iPadとの出会いで、絵本制作は大きく変わった
仕事をしながら絵本を作る。
想像以上に時間はありませんでした。
机に向かって何時間も制作する生活ではなく、仕事の合間や休日、少し空いた時間を使って少しずつ描き進めていく。
そんな僕にとって、iPadは制作環境そのものを変えてくれた存在でした。
デジタルだから失敗しても何度でも描き直せる。
色を変えることも簡単。
一枚前の状態にも戻れる。
「もっと上手く描けるようになってから。」
そう思っていた僕でも、一歩踏み出しやすくなりました。
だから今でも、
「あの時、迷わずにiPadを手に入れてよかった。」
そう思っています。
『てとて』が教えてくれたこと

初めて一冊を完成させたとき、
嬉しさと少しのドキドキがありました。
「自分の中では伝えたいことを、伝えたい形で最後まで作れた。」
その達成感とともに、ちゃんと伝わるのか?
という気持ちもありました。
もちろん、今読み返すと、
「ここはもっと良く描けた。」
「この文章なら今は違う表現を選ぶ。」
そんなページもあります。
でも、それでいい。
あの時の自分にしか描けなかった一冊だからです。
作品は、その時の自分自身を映す鏡でもあります。
完璧ではないからこそ、その時の想いや迷いまで残っています。
出版はゴールではなく、誰かとつながるスタートだった
絵本を出版するまでは、
「完成したら終わり。」
そう思っていました。
でも実際は違いました。
読んでくれた人から感想をもらう。
子どもが笑ってくれた。
大人が涙を流してくれた。
「この絵本を読んで家族のことを考えました。」
そんな言葉をいただくたびに、
作品は作者の手を離れて、新しい物語を生み始めるんだと感じました。
だから出版は終わりではありません。
誰かの人生と作品が出会う、新しい始まりなんです。
家族が教えてくれた「届ける相手」の大切さ
今、僕には息子と娘がいます。
そして、黒い犬のテトと、白い犬のトテがいます。
実は、絵本『てとて』を制作したあとに、トテと出会いました。
偶然ではありますが、その出来事も僕にとっては一つの物語になっています。
家族と過ごす時間は、作品のヒントであふれています。
子どもの何気ない一言。
犬たちの表情。
家族で笑った時間。
そうした日常が、作品の色や言葉になっていきます。
だから僕は、絵本を作ることと生活を切り離して考えていません。
生きている瞬間瞬間そのものが、作品づくりにつながっている。
そう思っています。
絵本を作りたい人へ伝えたい7つのこと
もし今、「自分も絵本を作ってみたい」と思っているなら、僕が伝えたいことがあります。
① 上手くなってから始めようと思わないこと。
描きながら上手くなります。
② 誰に届けたいかを決めること。
相手が決まると、物語が動き始めます。
③ 完璧を目指しすぎないこと。
一冊目は、自分の現在地です。
④ 道具に悩みすぎないこと。
必要なのは最高の機材ではなく、描き続ける時間です。
⑤ 人に見てもらうこと。
感想をもらうことで、自分では気づけなかった作品の魅力が見えてきます。
⑥ 一冊完成させること。
完成しない作品からは学べないことがあります。
⑦ 自分にしか描けない物語を大切にすること。
他人と同じ作品は作れても、同じ人生は歩めません。
あなたの経験は、あなたにしか描けない物語になります。
僕が絵本を描く理由
昔の僕は、人の命を救う仕事をしていました。
助けられた命もあります。
でも、助けられなかった命もあります。
そして、その人が生きてきた証や想いが、時間とともに忘れられていく場面も見てきました。
その経験は、今でも僕の中にあります。
だから今は、
「想いを、物語に。」
という言葉を活動の軸にしています。
絵本は、子どもに読むためだけのものではありません。
誰かの人生。
誰かの家族。
誰かの夢。
そうした目には見えない想いを、未来へ残していくものだと思っています。
昔は命を救うために働いていました。
今は、想いを未来へつなぐために描いています。
形は変わりました。
でも、
「誰かのために」という気持ちは、あの頃から変わっていません。
まとめ
絵本を作る方法は、一つではありません。
出版社から出す人もいます。
個人で出版する人もいます。
紙で作る人もいれば、デジタルで作る人もいます。
でも、どんな方法でも共通していることがあります。
それは、
「完成させること」。
そして、
「届けること」。
僕も30歳から絵を始めました。
美術大学を卒業したわけでもありません。
最初から画家になる予定だったわけでもありません。
それでも一冊の絵本を完成させたことで、人生は大きく変わりました。
もし今、「いつか絵本を作ってみたい」と思っているなら、
その”いつか”を、今日に変えてみてください。
最初の一ページを描くこと。
そこから、あなただけの物語が始まります。
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hey|想いを、物語に。
画家・絵本作家heyとして、絵本・原画・オーダーアート、企業や地域とのアートプロジェクトを制作しています。
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