こんにちは、heyです。
今回も引き続き、絵本『てとて』が完成するまでのリアルな制作過程を綴っていきます。
目次
絵本制作記 過去の記事はこちら
▼ 第1回:Kindle出版から個展まで。絵本作家×画家として生きる
▼ 第2回:絵本づくりの現場|下描き・キャラ作り・迷いとの向き合い方
第三回ではもっと具体的に、実際にどうやって絵を描き悩みと向き合っていくのか。
「トテの誕生」や「世界観ができるまでの流れ」
“現場で起きていること”を、少し踏み込んでお伝えします。
下描きの時間|「正解のない線」の中をさまよう
絵本づくりの中で、一番時間がかかるのが下描きの時間です。
ボクはiPadのプロクリエイト(お絵描きアプリ)で6B鉛筆を主に使い描いているのですが、描き始めた線がしっくりこないとすぐ描き直します。
トテが少し笑いすぎて見えたり、テトがいつもより不安そうになってしまったり。
“キャラクターの気持ちを伝わるように描く”
これが絵を描くうえで、一番難しいところかもしれません。

下描きで気をつけていること
キャラの“感情温度”を一定にしない 物語の流れとともに、表情は微妙に変わっていきます。それをページごとに記録、描き込みすぎず、下描きの段階では“余白”を残しておく。子ども(我が子)に絵を見せ、「このトテかわいい?」「悲しそう?」と聞くと、「かわいくない!」「寂しそうにみえる!」とシビアに返ってきます。笑
子どものひと言が、最終的な方向性を決めることも多いです。
まさに家族で作った絵本です。
キャラクターの成長を描く|“ブレない軸”のつくり方
絵本づくりの序盤でやっていたのが、
「トテ」「テト」「ポン」それぞれの“心の変化表”づくりです。
言葉にすると少しむずかしいのですが、映画や漫画のように、キャラにも“心のアップダウンの流れ”があります。
トテは最初、
・不安
・自信がない
・自分の姿にコンプレックスがある
そんな気持ちを抱えています。
でも、テトと関わることで…
表情が柔らかくなり、少しずつコンプレックスが気にならなくなってくる、目に光が宿ってくる、
といった細かな変化が生まれます。
これを意識して描かないと、ストーリーと絵の“気持ちのズレ”が起きてしまうんです。




絵本はセリフが少ない分、文で表現できない部分は絵で語る必要があります。
ページレイアウトの試行錯誤|伝わる“間”をつくる
絵本で大切なのは、絵そのものだけでなく、
ページの“間”の感覚です。
めくった瞬間に何が起こるか。
セリフのない見開きのページで何を感じてもらうか。
ボクはレイアウト段階で、iPad上に1ページずつ配置して「映画のカット割り」のように見返します。
レイアウトで意識していること
小さな子どもでも迷わない“視線の流れ”
感情の山に合わせたページの緩急 、セリフなしページで感情を深く落とす 、絵の密度と余白のバランス等々。

この工程は思った以上に奥が深く、
1ページにつき10回以上描き直すこともあります。
描けない日のこと|絵を仕事にする覚悟
ブログではなるべく楽しい部分や学びをお伝えしていますが、実は、絵本づくりは“描けない日”のほうが多いです。
・なんだか線が固い
・キャラがいつもの表情にならない
・ページの流れに違和感がある
・「この絵本を誰かが読んでくれるのだろうか」と不安になる
そんな日が続くときもあります。
でも、その度に救ってくれたのは、子どもの一言やSNSでの温かいメッセージでした。
「このキャラすき!」
「新作楽しみです!」
「うちの娘、トテの顔まねしてます!」
絵が、誰かの心に届いている。
その実感が、また描く力になっています。
ページが積み重なる瞬間|“作品”になっていく喜び
下描きを重ね、レイアウトを整え、
少しずつ絵が増えていく。
15ページ、20ページと積み重なっていくと、
最初は“点”だったアイデアが、
一本の線になり、“物語”としてつながっていく。
この瞬間が、絵本づくりをしていて一番ワクワクする時間です。
次回予告|第四回は「色付けと仕上げ・KDP用データ作り」
次回は、KDPへの最終調整、印刷との戦いなどの“仕上げの工程”を紹介します。
・どのくらいの彩度がちょうどいい?
・印刷すると暗くなる問題
・Procreateの書き出し設定
・KDPの注意ポイント
絵本を自分で出版したい方にも役立つ回になると思います。
おわりに
今回の記事も、最後まで読んでくださりありがとうございます。
絵本づくりは孤独な作業も多いですが、こうして読んでもらえることで一歩ずつ進めています。
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「あなたの思い出が絵本に登場」企画も継続中です。
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今日も、心を描きます。
