絵本づくりの現場|下描き・キャラ作り・迷いとの向き合い方

絵本づくりの現場|下描き・キャラ作り・迷いとの向き合い方

2025-11-17

こんにちは、heyです。

今回も引き続き、絵本『てとて』が完成するまでのリアルな制作過程を綴っていきます。


絵本制作記 過去の記事はこちら

▼ 第1回:Kindle出版から個展まで。絵本作家×画家として生きる

【第1回】 Kindle出版から個展までのリアル

▼ 第2回:絵本づくりの現場|下描き・キャラ作り・迷いとの向き合い方

【第2回】 下描き・キャラ作りの裏側


第三回ではもっと具体的に、実際にどうやって絵を描き悩みと向き合っていくのか。

「トテの誕生」や「世界観ができるまでの流れ」

“現場で起きていること”を、少し踏み込んでお伝えします。

下描きの時間|「正解のない線」の中をさまよう

絵本づくりの中で、一番時間がかかるのが下描きの時間です。

ボクはiPadのプロクリエイト(お絵描きアプリ)で6B鉛筆を主に使い描いているのですが、描き始めた線がしっくりこないとすぐ描き直します。

トテが少し笑いすぎて見えたり、テトがいつもより不安そうになってしまったり。

“キャラクターの気持ちを伝わるように描く”

これが絵を描くうえで、一番難しいところかもしれません。

お話ししてもすぐに逃げちゃう。ってシーン

下描きで気をつけていること

キャラの“感情温度”を一定にしない 物語の流れとともに、表情は微妙に変わっていきます。それをページごとに記録、描き込みすぎず、下描きの段階では“余白”を残しておく。子ども(我が子)に絵を見せ、「このトテかわいい?」「悲しそう?」と聞くと、「かわいくない!」「寂しそうにみえる!」とシビアに返ってきます。笑

子どものひと言が、最終的な方向性を決めることも多いです。

まさに家族で作った絵本です。

キャラクターの成長を描く|“ブレない軸”のつくり方

絵本づくりの序盤でやっていたのが、

「トテ」「テト」「ポン」それぞれの“心の変化表”づくりです。

言葉にすると少しむずかしいのですが、映画や漫画のように、キャラにも“心のアップダウンの流れ”があります。

トテは最初、

・不安

・自信がない

・自分の姿にコンプレックスがある

そんな気持ちを抱えています。

でも、テトと関わることで…

表情が柔らかくなり、少しずつコンプレックスが気にならなくなってくる、目に光が宿ってくる、

といった細かな変化が生まれます。

これを意識して描かないと、ストーリーと絵の“気持ちのズレ”が起きてしまうんです。

絵本はセリフが少ない分、文で表現できない部分は絵で語る必要があります。

ページレイアウトの試行錯誤|伝わる“間”をつくる

絵本で大切なのは、絵そのものだけでなく、

ページの“間”の感覚です。

めくった瞬間に何が起こるか。

セリフのない見開きのページで何を感じてもらうか。

ボクはレイアウト段階で、iPad上に1ページずつ配置して「映画のカット割り」のように見返します。

レイアウトで意識していること

小さな子どもでも迷わない“視線の流れ”

感情の山に合わせたページの緩急 、セリフなしページで感情を深く落とす 、絵の密度と余白のバランス等々。

シンプルだけど存在感のある絵を意識

この工程は思った以上に奥が深く、

1ページにつき10回以上描き直すこともあります。

描けない日のこと|絵を仕事にする覚悟

ブログではなるべく楽しい部分や学びをお伝えしていますが、実は、絵本づくりは“描けない日”のほうが多いです。

・なんだか線が固い

・キャラがいつもの表情にならない

・ページの流れに違和感がある

・「この絵本を誰かが読んでくれるのだろうか」と不安になる

そんな日が続くときもあります。

でも、その度に救ってくれたのは、子どもの一言やSNSでの温かいメッセージでした。

「このキャラすき!」

「新作楽しみです!」

「うちの娘、トテの顔まねしてます!」

絵が、誰かの心に届いている。

その実感が、また描く力になっています。

ページが積み重なる瞬間|“作品”になっていく喜び

下描きを重ね、レイアウトを整え、

少しずつ絵が増えていく。

15ページ、20ページと積み重なっていくと、

最初は“点”だったアイデアが、

一本の線になり、“物語”としてつながっていく。

この瞬間が、絵本づくりをしていて一番ワクワクする時間です。

次回予告|第四回は「色付けと仕上げ・KDP用データ作り」

次回は、KDPへの最終調整、印刷との戦いなどの“仕上げの工程”を紹介します。

・どのくらいの彩度がちょうどいい?

・印刷すると暗くなる問題

・Procreateの書き出し設定

・KDPの注意ポイント

絵本を自分で出版したい方にも役立つ回になると思います。

おわりに

今回の記事も、最後まで読んでくださりありがとうございます。

絵本づくりは孤独な作業も多いですが、こうして読んでもらえることで一歩ずつ進めています。

Instagramでは、制作途中のラフや落書きも公開しています。

もし気に入っていただけたら、ぜひ覗いてみてください。

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「あなたの思い出が絵本に登場」企画も継続中です。

DMいただければ、あなたのペットや大切な存在を次の作品に登場させるかもしれません。

今日も、心を描きます。