「いつか、自分で絵本を作ってみたい。」
そう思ったことはありませんか?
でも、その次に、
「自分は絵が上手くないから無理かも。」
「美大にも行っていないし、絵本なんて作れない。」
「もっと絵が上手くなってから挑戦しよう。」
そんなふうに考えて、止まってしまう人もいると思います。
僕も、本格的に絵を始めたのは30歳でした。
美術大学を卒業したわけでもありません。
当時の仕事は、ばりばりの消防官。
そこから絵を描き始め、少しずつ制作を続け、絵本『てとて』を完成させました。
現在は消防官を退職し、画家・絵本作家heyとして活動しています。
だから今回は、
「絵が上手くないと、絵本は作れないのか?」
について、自分自身の経験から書いてみたいと思います。
目次
僕も最初から絵が上手かったわけではない
僕が本格的に絵を始めたのは30歳です。
子どもの頃から美術教育を受けていたわけでも、美大で専門的に学んだわけでもありません。
当然、最初から今と同じように描けたわけではありませんでした。
描いてみる。
思ったように描けない。
もう一度描く。
少しできるようになる。
また新しい課題が見つかる。
その繰り返しです。
だから僕は、
「絵が上手くなってから作品を作る」
という順番ではありませんでした。
作品を作りながら、少しずつ描けるようになっていった。
その方が実際の感覚に近いです。

「上手くなったら作る」だと、いつまでも始まらない
絵を描いていると、自分より上手な人はいくらでも見つかります。
Instagramを開けば、ものすごく上手な絵が毎日流れてきます。
そういう作品と比べると、
「まだ自分には早いな。」
と思ってしまいます。
でも、一年描いても、さらに上手な人はいます。
五年描いても、おそらく同じです。
つまり、
「上手くなったら始める」のゴールは、実はかなり曖昧です。
僕は、それよりも、
「今できる範囲で一冊作ってみる。」
ことの方が大切だと思っています。

絵本は「絵の上手さ」だけでできているわけではない
絵本には、いろいろな要素があります。
物語。
言葉。
キャラクター。
構図。
ページをめくるタイミング。
色。
余白。
そして、
その作品で何を伝えたいのか。
もちろん、絵の技術は大切です。
僕自身も、もっと描けるようになりたいと思っています。
でも、
「絵が上手い=心に残る絵本」
とは限らないと思っています。
すごく緻密な絵ではなくても、忘れられない絵本があります。
単純な線で描かれていても、心に残るキャラクターがあります。
だから、最初から技術だけで判断しなくてもいい。
自分が何を伝えたいのか。
そこから考えてみるのも、絵本の作り方の一つです。
僕は「想い」から物語を考える
現在、僕は活動の中で、
「想いを、物語に。」
という言葉を大切にしています。
僕の場合、最初に考えたいのは、
「上手い絵を描こう。」
ではありません。
この作品で、
誰に何を感じてほしいのか。
何を伝えたいのか。
読み終わったあとに何が残ってほしいのか。
そこから物語を考えていきます。
技術は、その想いを届けるための手段です。
もちろん、技術が上がれば表現できることは増えます。
でも、
想いがなければ、技術だけあっても僕が作りたい作品にはならない。
僕はそう考えています。

一冊完成させると、自分に足りないものが見える
初めて絵本を作るとき、
完璧な作品を作ろうとすると、なかなか完成しません。
絵を描き直す。
文章を直す。
また絵が気になる。
ページ構成を変える。
もちろん、修正は必要です。
でも、どこかで完成させる必要があります。
僕が大切だと思うのは、
まず一冊、最後まで作ること。
です。
一冊完成すると、
「文章が長かったな。」
「このページはもっと絵で伝えられたな。」
「キャラクターをもっと描き込めたな。」
と、自分の課題が具体的に見えてきます。
その課題を次の作品に持っていけばいい。
最初の一冊を作らないまま勉強だけを続けるより、実際に完成させることで分かることはたくさんあります。
iPadがあったことで制作のハードルは下がった
僕の場合、制作にiPadを使ってきました。
消防官として働きながら制作していたので、毎日何時間も机に向かえるわけではありません。
だから、
時間があるときに描ける。
修正できる。
持ち運べる。
というデジタル制作との相性は良かったと思います。
そして、これから絵を始める人に伝えたいのは、
最初から一番高いiPadを買う必要はない
ということです。
大切なのは、
「どのiPadを持っているか」
より、
「そのiPadで何枚描いたか」。
道具はもちろん大切です。
でも、道具を揃えること自体が目的になってしまうと、作品は完成しません。
最初の一冊は「現在地」でいい
初めて作った作品を数年後に見たら、
「今ならもっとこうする。」
と思うかもしれません。
僕もそうです。
でも、それは失敗ではありません。
その作品があるから、
自分がどこから始めたのかが分かります。
一冊目は、その時点での自分の現在地。
二冊目では、できることが少し増える。
三冊目では、また違う表現ができる。
その積み重ねが作家としての成長になっていくのだと思います。
30歳からでも遅くなかった
僕は30歳から本格的に絵を始めました。
消防官として働きながら絵を描き、絵本を作りました。
だから、
「もう30歳だから。」
「子どもの頃から描いていないから。」
「美大を出ていないから。」
という理由だけで諦める必要はないと思っています。
もちろん、早く始めた人には積み重ねがあります。
そこは簡単には埋まりません。
でも、自分にしかない経験もあります。
僕なら、消防官として過ごした13年間。
家族との生活。
30歳から新しいことを始めた経験。
30歳まで積み重ねてきた経験。
そういったものも、今では作品を創る上で大切な要素となっています。
絵本を作りたい人が今日できること
もし、
「いつか絵本を作りたい。」
と思っているなら、今日できることがあります。
紙でもスマートフォンのメモでも構いません。
まず、
「自分は何を伝えたいのか」
を一文だけ書いてみてください。
次に、
その想いを誰に経験してもらうのか。
主人公を一人考えてみる。
そして、一ページだけ描いてみる。
最初から32ページ全部を考えなくてもいいと思います。
一ページができたら、次の一ページ。
そうやって少しずつ形にしていけば、必ず絵本を届けたい人に届けることができます。
まとめ|上手くなってからではなく、作りながら上手くなる
絵が上手くないから、絵本は作れない。
僕はそうは思いません。
もちろん、技術を磨くことは必要です。
僕自身もこれからずっと学び続けます。
でも、
上手くなってから作品を作るのではなく、作品を作りながら上手くなっていく。
そんな道もあります。
僕自身がそうでした。
30歳から絵を始めました。
消防官として働きながら描きました。
そして、一冊の絵本を完成させました。
もし今、
「自分にはまだ早い。」
と思っているなら、
まず一ページだけでも作ってみてください。
何年か後に振り返ったとき、
その一ページが、
自分の物語が始まった場所
になっているかもしれません。
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